パズルピースの引きずり動作 (2)
パズルのピースのような板を、尖った針先を使って引きずると、どういう動きをするか。 たいてい、何かを分析しようという時は、まず物事を単純化して考えるのが良い。 そこで、この場合、パズルの板のかわりに、小さな重りに棒がついたようなものを考えてみる。 板の重さは、本来、板全体に広がっているのだが、そうすると話が難しくなるので、ひとまず、重心に重さが集中しているとみなして考えようというわけだ。 これを図で表すと、次のようになる。 (図中の黒い棒が移動前、赤い棒が、移動後の位置をあらわす。)
棒に対して直角方向にマウスを動かす場合は、引きずる力が働かないので、棒は重心の回りに回転するだけだ。 一方、棒に対して斜め方向にマウスを動かす場合は、引きずる力と回転させる力の両方が働く。 それぞれ、どの程度の割合になるかは、マウスを動かす方向に依存する。
この考え方だと、わりと計算が簡単で都合がよいので、「ジグソーパズル製造機」では、この方式を使った。 ただ、この時に問題になるのは、右図のように、重心の近くでマウスを動かす場合だ。 マウスをちょっと動かすだけで、棒 (パズルピース)が グルッと大きく回ってしまい、操作しにくくなってしまう。
実際の板の場合、そんなことはなくて、重心付近を針で押さえて動かすと、ほぼ平行移動するはずだ。 さて、より現実の動きに近いプログラムを作るには、ピースの動きをどのように分析すればよいだろうか。 (次回へ)
時々思うのですが、パソコンや携帯電話などハイテク機器の内部構造や、それにまつわる知識が、あまりにも世間一般の常識とかけ離れている、ということに違和感を感じることがあります。 複雑な機器をブラックボックス化するのは技術の常道ではありますが、技術開発に携わっている技術者自身は、必ずしもブラックボックス化することを望んではいないと思います。 また、利用者の側にしても、自分の使っている道具の仕組みがわからない、というのは、あまり楽しいことではない、と思うのです。
にも関わらず、技術者にとっては、苦労して編み出した「技」が隠されてしまい、一方で、利用者は、便利かもしれないが何だか得体の知れないものを使わされる。 理由は、色々あることでしょう。 端的にいえば、道具は楽しむためにあるのではなくて、仕事に役立てるため (生きる糧を得るため)にあるからかもしれません。 だから、効率の悪い使いにくいものは捨てられてしまう。 それは、当たり前のことなのか...。 |
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