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マキアヴェッリの喜劇 「マンドラーゴラ」

Photoマキアヴェッリは、君主論のような政治思想とは全く異なる、喜劇作品を3作書いている。 「アンドリア」、「マンドラーゴラ」、「クリツィア」で、そのうち後の2作が、マキアヴェッリ全集4 (筑摩書房) に収められている。 彼が生前に世間から評価されたのは、むしろ、こちらの方であったらしい。 ここでは、マンドラーゴラの紹介をするが、その内容は、とても庶民的で、色恋・不倫といった大人の話。
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ある学者夫婦が、子供が欲しいにもかかわらず、ずっと子供ができないでいる。 その嫁さんの美しさに、主人公の若者は夢中になってしまい、間男となる決心をする。

学者と懇意になり、そして、マンドラーゴラという薬草から作った懐妊薬を嫁さんに飲ませる様に勧める。 彼が言うには、「ひとつ頭に入れておいていただきたいことがあるんです。 つまり、その薬を飲んだご婦人と最初に交わる男性は、八日とたたないうちに死んでしまって、手の施しようがないってことです。」 ・・・・・・ 「誰かほかの男を引っ張って来て、すぐに奥方と寝かせるんです。 そうすれば、奥方と一晩一緒にいるうちに、その男がマンドラーゴラの毒素をすっかり吸い取ってくれるでしょう。」 と、学者を騙しておいて、自分は後で変装して、その犠牲になる男として捕まえられる、というふうに話は進む。

Mandragolaこの劇には、夫婦が信奉する教会の神父も登場する。 あらかじめ、主人公達から金をつかまされた神父が、嫁さんに向かって言うには、「確実な善と、不確かな悪とがある場合、その不確かな悪を恐れて、善を逃してはいけません。 今の場合、確実な善というのは、あなたがお子を身ごもることです。・・・・・・ 不確かな悪というのは、水薬を飲んだあとで、あなたと寝た男が死ぬかもしれぬということです。」 というわけで、嫁さんの方も、しぶしぶ、その計略に従うことになる。
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なんとも荒唐無稽な筋書きだが、そのドタバタさ加減が、ちょっと吉本新喜劇を思わせる。 やはり、いつの時代も、それが馬鹿馬鹿しいからこそ笑えるのだろう。 もっとも、この話は単に下らないというだけでもなくて、その中にマキアヴェッリの思想がにじみ出ている所もあって興味深い。 学者や教会というものを嘲笑ってみたり、神父に、妙に現実主義的な言葉を言わせてみたり、中々手が込んでいるのだ。

ところで、この話は、サマセット・モームの小説 「昔も今も」 の筋書きと、部分的に良く似ている。 つまり、モームはマンドラーゴラのパロディを、自分の小説に盛り込んだわけだ。 マキアヴェッリ同様、モームと言う作家も小説の中に風刺を散りばめるのが得意なようで、いわば 「昔も今も」 は、風刺作家同士の時代を超えた共同制作といえるだろうか。

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