マキアヴェッリ ~ NHK ミサイル報道
マキアヴェッリの思想は、それを受け取る人次第で、違った解釈ができてしまうのが困った所だ。 例えば...
1. 自分の欲望を満たすためには、どんな卑劣な手段を使ってでも、それを成功させるべきだ。 下手に格好をつけて負けてしまったのでは意味がない。
2. 思い込みで判断してはいけない。 現実を良く見極めて、より多くの人が利益を得られるような手段を工夫すべきだ。
マキアヴェッリ自身は、2 のような考えであったらしい。 できる事なら、みんなが、そのような考えをもって欲しいものだが、現実には 1 のような考えの連中が、それも権力のある人々の中に、随分いるようだ。
...などということを通勤中に考えながら車を走らせていたら、ラジオでNHKのニュースが始まった。 最近どうにも気になってしょうがないのが、NHK のミサイル報道である。 北朝鮮がロケットを打ち上げようとしている。 でも、なぜか、アナウンサーは、それを 「ミサイル打ち上げ」 と言う。 ミサイルと言うのは兵器に対して使う言葉だ。 だから当然、それが兵器である根拠が必要なのだが、実は、新聞を見てもネットを探しても、どこにもその根拠がないのである。 もちろん、状況からしてミサイル目的である可能性が高いのはわかる。 しかし、明確な根拠がないのにも関わらず、「人工衛星用ロケット」に対して、断定的に「ミサイル」と言い切ってしまうのは、とても不自然だ。 さらに驚くことには、そのニュースの途中で解説者の話があって 「現時点では、それが人工衛星目的なのかミサイル実験なのか区別することができない」 と言っている。 NHK自身が、ミサイルかどうか分からないと認めておきながら、それでも、アナウンサーはしつこく、ミサイルという表現を使い続けているのだ。 なんじゃこりゃあ~。
もしかして、「迎撃」 を正当化するためには、あえてミサイルと見なす必要がある、ということだろうか。 でも、ニュースの説明では、飛行物体が国内に落ちてくるとしたら、それは制御に失敗し、軌道からそれてしまう場合であって、落下する事が確認できる時にのみ 「迎撃」 を行う、と言っている。 つまり、人工衛星が間違って落ちてきた場合も、空中で破壊することには十分な正当性があることになる。 それをあえて、ミサイルと見なすべき理由はない。 NHKは、ミサイルを連呼して不安を煽るのではなく、解説者の話をふまえて、どのような可能性があるのか、もっと丁寧に説明すべきだ。
あるいは、何かそれなりの理由があって、あえて物騒な言葉を使っているのかも知れないが ... だとすると、その理由が分からないだけに、むしろ北朝鮮のミサイルよりも、NHKの方が、よほど怖い気がする。 北朝鮮の指導者は 「たちが悪い方の」 マキアヴェリストかも知れないが、それと同じくらい怪しい力が、マスコミの背後にあるというのは思い過ごしだろうか。
( 本当は、もっと別の話題に、つなげるつもりだったのだが... )
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(注) 上記記事は、2009年3月30日 に書いた。 4月3日のニュースでは、ミサイルという言葉は、ほとんど使われず、「大陸間弾道ミサイルと同等の構造を持つ飛翔体」 という表現が1回だけ使われている。
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