境港に行ってきた
境港の商店街(水木しげるロード)は、年間150万人もの観光客が訪れるという、鳥取県の代表的な観光地である。 しかしながら実際に行ってみて、他の観光地と比べると、随分と不思議な所だなあという印象をうけた。 例えば、同程度の来訪者がある熊本市の熊本城と比べると、違いが際立っている。
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水木しげるロード 熊本城
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都市人口 境港 3.6万人 熊本 68万人
観光対象 ブロンズ像(133体) 城郭建造物(天守閣・御殿など)
個人業績の展示 歴史遺構の展示
展示館の規模 水木しげる記念館 本丸御殿
総工費4.8億円 総工費54億円
年間来訪者数 148万人 177万人
来訪者/人口 41 2.6
観光地としての 15年 約50年
期間
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両者は、観光対象の規模からすると、比べ物にならない。 展示館の規模にしても10倍の開きがある。 にも関わらず、来訪者数としては、境港は熊本城と同程度の観光客を呼び入れているのである。 また、人口1人あたりで換算すると、水木しげるロードの来訪者数は15倍を越えている。 これは大変な事だ。
もちろん、それには色んな理由があるのだろう。 何よりも水木しげるという人の強烈な個性が原動力になっているのはいうまでもない。 観光地としての歴史は短いが、「ゲゲゲの鬼太郎」の方は40年の歴史があり、膨大な数の人々の記憶に染み込んでいるのである。 誰もが知っている、という事は、宣伝効果として大きな影響力を持っているに違いない。
それから、おそらくは地元の人々の街の活性化への熱意、これも大きな要因であろう。 ネットの記事だけでは中々窺い知れないが、実際に訪れてみると、本当に至る所で、鬼太郎や妖怪の絵が目に付く。 駅のホームの足元や立て看板。 駅名表示板に妖怪のイラスト。 列車の車体全面に鬼太郎のイラスト。 駅を出ると、道路両側に土産屋が並んで、ほぼ全ての店で妖怪関連の食事メニュー(妖怪ラーメンとか)やお菓子やマスコットが売られている。 はっきり言って、節操がなさ過ぎるが、それもこれも、地元を何とか盛り上げたいという熱意の表れと思えば理解できる気がする。
そもそも観光地という所は、いわば、年中お祭り気分を演出することが求められるのだろうし、訪れる客の方だって高尚な目的で来るわけではない。 何となくにぎやかな雰囲気さえあれば、まんじゅうに安物のキーホルダーを土産に買って、それで満足できるのだ。 そういう現実離れした空間と妖怪というのは、確かに相性が良さそうに思える。 私自身、大した目的もなしに行ったわけだし、同様に子連れの旅行で、何となくいってみようかと思う人は多いと思う。
で、結局、楽しかったのかというと、少々微妙な所もあるので、その辺はまた別の記事で書いてみよう。 (その気になればだが。)
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